価格。
W140を手に入れてからというもの、こんなやり取りが増えました。
「アレって、幾らしたんですか?」
「70万円ですね」
「…」
「70万円です」
「…はい…え?あれれ?」
「それに車検2年付けて諸費用をプラスしても総額90万円でした」
「ひ、ひえぇ」
発表当時は、デカいだの重いだのグロいだのアナクロニズムだのと罵られたW140型メルセデス。
一部の好事者を除けば、世間一般的には「不人気車」というレッテルが貼られています。
ゆえに、中古車としての流通価格はべらぼうに安い。
旧いとはいってもメルセデス・ベンツ。
腐ってもフラッグシップであるSクラスなのに、です。
全ては安全性に紐付いているがゆえの、あのデカさ、重さ、グロさだったというのに
マーケットではボロクソに貶されてそっぽを向かれたんですね。
「もうマトモなクルマなんかアホらしくて作ってられるか」
というのが彼らの本音だったのか、それ以降のメルセデスは一気にコストダウン(儲け)を意識したクルマ作りにシフトすることとなりました。
精巧で理論的で機能的で耐久性に優れてるんだけど、デカくて重くて威圧感バリバリで不人気車になってしまった70万円の中古車と
デザインを優先するあまり機械としての無理が生じてしまい、ヘナヘナでナマクラでポンコツなんだけど何故かマーケットでは大人気で300万円の値が付いた中古車。
共に20年落ち。
そして、元は同じ1500万円。
好きな方をあげると言われたら、貴方は300万円と70万円のどちらを選ぶでしょうか?
「そりゃもちろん300万円の中古車。だって高いし評判いいもん」
と答えた人は、もしかすると価値観がお金と世間体に支配されているのかもしれません。
必ずしも「いいモノ=高い」ではありませんから。
基本がしっかりしてて、ふんだんに整備されてきたコンディション極上のSクラスでも、不人気だと安くなるんですね。
これこそが中古(骨董)マーケットの面白い部分、醍醐味だと思っています。
ところが人間なんて無責任なもので、いま頃になって世界的にW140の過剰品質が見直されてきており
程度の良い個体が国内(総生産台数の実に1/4が日本で売れた)から海外へ流出していっております。
多分、今後はタマ数が更に減ってきて値が吊り上がってくる(実際、今年から高騰の兆しがあります)でしょうから
最後の本物と呼ばれるベンツに安く乗れる、今が本当に最後のチャンスじゃないかと思いますねぇ。
狙い目は95年式の中期モデルと97・98年式のファイナルモデル。
きっちり整備されてきた個体なら、走行距離はあまり気にしなくていいでしょう。
バチィィン!ドシィィン!ガシィィン!カッキィィン!
そんな豪快な、ベンツ度100%だった頃のベンツが70万円で手に入る。
豪快過ぎて細かいことを気にしない、男らしい性格になってしまうことウケ合いです。
だから、神経質な人はベンツに近寄らない方がいいかもしれません。
神経質な人はポル◯ェを買って神経衰弱に
繊細な人はフェ◯ーリを買ってノイローゼにでもなっててください。
そして豪快な人は昔のベンツを買って、豪快な人生を送ってもらいたいですね。