私がある会社をお預かりしていた頃の話
その当時の新卒入社2年目のコたちと食事に行った帰り、乗せていただいたタクシーの運転手さんがこんなことを言ってました。
『最近乗せるお客さんね。皆が口を揃えて、去年採用した新卒社員が辞めちゃったって嘆いてるんですよ』
ひどい会社だと、5名採用して1年も経たないうちに4名が退職されたのだとか。
『その点、おたくの社員さんは生き生きしてますねー』
私は言いました。
『ありがとうございます。うちは隠さないもん』
どんな会社でも、様々な問題を抱えています。
文化、風習、とりわけ人間関係に至っては特に深刻ですよね。
仕事の内容や待遇がどんなに理想的だったとしても、一緒に働く仲間に恵まれなかったら最悪ですもの。
したがって多くの場合、面接官はそんな会社の負の部分をひた隠すんですよね。
だからこの時期、世の中には「こんなはずじゃなかった」と落胆する新卒社員が大量発生する、と。
私は予め、仕事の酸いも甘いも全てをひけらかしておりました。
絶対に隠さない。
ウソもつかない。
そんなことよりも、面接の後
実際にオフィスを見て雰囲気を感じてもらい、(将来の先輩)社員たちにも会わせていました。
どんなに仕事が辛くたって、気持ちのいい仲間たちに恵まれていれば頑張れたりする。
その方がずっと重要だと考えています。
内定者さんにとっての疑問や不安は、私や面接官なんかと会話するよりも
歳の近い先輩社員とコミュニケーションをとって、彼ら彼女らの口から言葉を聞きたい。
それが本音なんです。
先輩たちは実際入社してみて、どんなことに不満を感じているのか?
その上で頑張れている理由は何なのか?
そんなやり取りになれば
仕事内容や給料なんかより、どんな人たちと働くのか
それが一番大切なことなんだと気付いてくれるはずだから。
毎年そんな訳で、歳の近い先輩社員、入社した時に上司になる社員、幹部社員…内定者さんたちが入社するまでの間、最低でも3回は食事会を開いていましたね。
納得できるまで語り合ってもらいたいし
『この人たちと働きたい』
そう思ってもらえたなら、この目的の95%は達せられるのであります。
事実、この取り組みを始めてから
私がお預かりする前は60%だった内定辞退率が20%に
そして70%もあった入社5年以内の離職率に至っては30%にまで減免させることができました。
辞退率や離職率の低減で頭を悩ませてる企業さん、騙されたと思ってお試しあれ。