名義変更とナンバー発給を済ませ、晴れて我がガレージの住人に加わった1987年式のW126メルセデス300SE
これがいちいちなにかとシブい。
純正のホイールキャップも所有した感を大いにくすぐってくれます。
いや、それよりなにより舌を巻いたのは乗り心地の良さ。
このボディ剛性感の素晴らしさときたら
『大海を行くクルーザーのごとく』『ミシリとも言わずに走る』とはこの時のためにあったような表現で
高めの視界から見ていると思わず首をすくめてしまうようなうねりや突起を乗り越えても、まったくウンもスンも起こりません。
突然、ある筋に身を置かれている方がバブル期に遺したとされる名言を思い出しました。
『これはクルマではなく、ベンツという乗り物だ』
まさに、言い得て妙です。
さて、浮かれてばかりもいられません。
なんせ30年以上も前のクルマなわけですよ。
もし欠損・故障したパーツの在庫がなかったりした日には、本国で作ってもらうしか方法がなく
もちろんそうなったら長期入院を余儀なくされます。
それを避けるため、いずれやってくる車検の事前チェックも兼ねて
いつもお世話になっている正規ディーラーへ。
ボンネットを開けて食い入るように、そして舐めまわすように各部のチェックを始めた名医コンビ。
こんな時に見せる彼らの眼差しは、シャッターを切る時のカメラマンや
ライフルを構えた時のスナイパーに共通する、まさにプロのそれです。
こうなるともう、私みたいな素人は固唾を呑んで見守るしかありません。
そしてしばし沈黙…というか
どちらかというと絶句の時間が流れた後、ようやくこちらを向いて一言。
「もう、笑うしかないですわ」
さらにリフトで上げると
担当N氏:「うっわ…なんじゃこれは」
チェアマン(工場長)S氏:「こんな状態キープしてる126、初めて見ましたわ」
という台詞。
どうやらW126、完璧超絶なるコンディションゆえに
今回の車検は、最小限の出費で済みそうだとわかったので
再び浮かれ気分に逆戻り、要りもしないキーホルダーを2個もお買い上げしてしまったという。
それはともかく
どんなクルマでも、リフトで上げるとめっぽうカッコよく見えてしまうのは気のせいだろか。