無苦庵記【気づきブログ】

バブル期の自動車&甘味に目がない経営コンサルタントの拙いブログです。

Sクラスの軸に思うこと

ハイウェイでアクセルを踏み込むと、グオッとノーズを持ち上げて
やおら今どきのクルマのような強い突進を開始するW126の300SE(1987年式)

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もちろんそれはあくまで体感レベルの話であって、実際に計測したら今どきのコンパクトカーにも置いていかれることでしょう。

 

それでも1979年にデビューした巨大なボディに、僅か3リッターの小さなエンジン(※30年の歳月は、3リッターを「小さなエンジン」と呼ばせてしまうんですね)を積んでいるだなんて
にわかには信じ難い、そんな加速印象です。

 

加えて「カッキィィーン」と精度の高い機械式AT特有の変速ショックとともに、猛然と加速しながらトントンと4速までシフトアップするのですが
この小気味良さもさることながら、変速動作が早いことにも驚かされます。

 

そして、圧巻はボディの強さ。
まるで全身を分厚い板バネで組み立てたような味、とでも言えばいいのでしょうか。

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いつもテストをする(少し下りながら右に曲がる)コーナーがあるのですが
ここを「ちょっと速すぎるかな」と不安になるようなスピードで進入しても
脚がググッと踏ん張って、次にボディがギュウゥンと捻れて
コーナーの出口でバッチィィーンと戻るという、まるで全身がサスペンションになってるんじゃないか?と疑いたくなるような感覚に包まれるんですね。

 

これぞまさしく、ハガネのボディ。

 

そういえば昔ある雑誌の企画で、スクラップ工場に山積みされたクルマたちの1番下がこのW126だったのですが
5台分の重量を屋根に受けているにも関わらず、ペチャンコにならないどころか、何食わぬ顔で平然とドアが開閉できていました。
きっと柱も強いんでしょうね。
例えて言うなら組立体操のピラミッドで、1番下の男子が両手を広げながら体幹だけで支えているようなものです。
「ベンツは使ってる鉄からして違う」
バブル当時はそんな都市伝説がまかり通っていましたが、あながちそれも偽りとは思えません。

 

それでいて車重は驚愕の1590kg。
いやぁ、軽いんですね。軽いんだなぁ。
5mを超える巨体で、おいそれとは信じられない数値ですが
車検証に記載されているので、これは正真正銘の車重ということになります。
3リッターでも印象がパワフルなのは、この軽さも手伝っているのでしょう。

高精度で粘りがあって強くて軽い工業製品がもたらす『懐の深い』匠の味。

他社は、とりわけ日本車はこの味を出す技術がないから
いや、あったとしても実現するには猛烈にコストがかかって仕方がないから
電子制御への依存度が高くなってブタのように重くなったんだろうなぁ、なんて勘繰ってしまいます。

 

これぞ『シンプル・イズ・ザ・ベスト』

W126型メルセデス、おそるべし。

鈍感極まりない私でもこの歳になってようやく、もちろん少しずつではありますが
このモデルが不世出の名車と呼ばれる理由が分かってきたような気がします。


さて、我がガレージの5台中3台が、時代は違えど全てメルセデスのSクラス。

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いったいどれが一番良いのか、ですって?

うーん…
結論から言うと、これは好みですね。

 

腕時計の表現で例えるなら
W126はロレックス(しかも旧いバブルバックモデル)
W140はG-SHOCK(とにかく頑丈ミリタリースペック)
W221はApple Watch(あくまでイメージです便利なイメージ)

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それぞれ表現の方向性は違うけれど
「安全」という軸はブレてないような感じ、というか印象を受けます。

 

個人的には「旧いけどよく出来た機械」のロレックスに1票をあげたいですけど。