彼の誕生日が自分と同じだからファンになった、というわけでもなく(笑)
自動車評論界の巨匠と呼ばれた故・徳大寺有恒氏の
このジャズ・ピアニストに関するエッセイを読み、ちょっと興味を抱いたのがきっかけ。
記述にはアルバム『ワルツ・フォー・デビィ』の1曲目『マイ・フーリッシュ・ハート』はイントロからして絶妙、とある。
ふむ。
で、さっそく購入して聴いてみたのですが、大人かぶれの大学生だった私にはチト難し過ぎました。
それでも
「これがいいんだ」
「これこそが本物なんだ」
「なんたって大人なんだから」
と念仏のように心に言い聞かせ、相当に無理をして聴き続けていたというのが正直なところです。
数年粘ったのだけれど、いつの間にやらお気に入りナンバーからも外れていたというトホホでお約束な顛末。
転機が訪れたのは、恥ずかしながら最近のことで
2005年に上映された邦画『大停電の夜に』のDVDを、10年以上経過してから初めて鑑賞した時なんですね。
突然、あの『マイ・フーリッシュ・ハート』が流れます。
「お?おぉ?…おぉぉぉぉ!」
いやぁ、背中がゾワッとしましたね。
宮崎アニメ『となりのトトロ』に出てくる「まっくろくろすけ」がゾワワワワワーっと逃げ去るシーンみたいな。
言葉にならないけれど
的だって外れているかも知れないけれど
ビル・エヴァンスマニアに怒られるかも知れないけれど
巨匠が言っていた意味を、この歳になって初めて
ほんの少しだけれど理解できたような、そんな気がしたのです。
映画の内容は、あまり憶えていません。
物語に出てくるBARの店名までもがフーリッシュ・ハートだったのは、ちょいやり過ぎかなぁとも思ったけれど
ストーリーも、キャストも、映像も、なんかもうどうでもよくなってしまいました。
時に音楽は、奏でるよりも聴くことの方が難しかったりするものなんですね。
その日以降
ワルツ・フォー・デビィが、私のギネスなナンバーに再加入されたことは言うまでもありません(言ってる)
うーむ。
この話、映画の舞台となったクリスマス・イヴの夜に投稿するべきだったかも(笑)