私がルービック・キューブを初めて手にしたのは小学生の頃(40年以上も前)のことです。
発売されたばかりの当時は『虎の巻』なんて無く、自力で揃えるしかありませんでした。
躍起になって何とかかんとか1面は揃えられるものの、2面はまぐれ的にしか揃いません。
そうこうジタバタと格闘しているうちに、あることに気がついたのですね。
それは、どれだけカリカリコリコリ回しても『各面の中央は一定で位置関係が変わらない』ということ。
ふむ。
つまり、意識すべきは
面を揃えるのではなく、列で揃えていくこと。
それが大事なんだなぁと子供心に思ったのを憶えています。
1列目を揃えるのは簡単でした。
この時、底の面も自動的に揃っていることを理解しておくのがミソです。
そして2列目をマスターするのには2週間くらい(かな?)を要しました。
問題は3列目ですよ3列目。
ここが揃うと6面が完成するという理屈なのですが、いやぁこれがなかなか手強い。
しかし、1ヶ月目だか2ヶ月目だか記憶も定かではありませんが、時折り6面が揃うようになってきたんです。
『揃えた』というよりも『揃ってしまった』感覚なので、マスターしたと言えるには程遠いですよね。
しかし、手順を書き残していくうちに
どうにかこうにかオリジナル虎の巻みたいなものが出来上がりました。
そいつを反復し、身心に染み込ませ続けて
ついには自作版虎の巻を見ずに3分〜5分くらいで6面を作れるようになるのだから、継続するのって大切ですよね。
当時はファミコンなんて遊具はありませんし、もちろん携帯電話もデビューするずっと前ですから
学校ではスターです、スター。
教えてくれという悪友たちが後を絶たない。
あーもぅ面倒くさいなぁ…
そうして次第に、いや自然に自作版虎の巻に話が及ぶこととなります。
これは虎の巻を譲ったら商売になるかも…なんて邪な考えを抱くような、強かで逞しい子供に成長してきた頃
なんとオフィシャル版の虎の巻が世間に出回り始めたではありませんか。
当時、大学生になりたての兄が入手してきたのを拝み倒して貸してもらい
最初にしたのが本業のテストでさえやったことのない『答え合わせ』です。
いや、答え合わせと言ってもゴールは完成形ですから『プロセス合わせ』といった方がしっくりきますよね。
興味は目的地までの道順、その一点にありました。
『ゴールが同じなんだから、もしかすると同じではなかろうか』
『いや、自分のオリジナルが優れてたりする可能性もあるな』
そんな妙な自信と不安を抱きながら目にしたそれは、圧倒的なゴールへの最短距離が示されていて
ビジネス化を夢見るアホ小学生の野望は呆気なく、本当に呆気なく木っ端微塵に打ち砕かれたのでした。
その後、素直にオフィシャル版を頭と指の動きに叩きこみ
カンニングなしでの完成タイムを平均1分にまで縮められるようになったというわけです。
【真ん中は動かない】
先ずは本質を見抜くところから始める。
【面ではなく列を揃える】
概念を固着させず、物事を縦横斜めに見る。
【継続する】
探究心こそがPDCAサイクルの軸。
【虎の巻】
同じ目的地でも、プロセスが異なれば生産性も異なる。
ルービック・キューブが小学生だった私に教えてくれたことは、経営に携わる今になって生きています。