衝撃だ。ニュースだ。イチローが引退するなんてそんなバカな。だって彼は歳食ったとはいえまだまだ第一線で活躍しているじゃないか。一体どういうことだ。
世間は、そんな声で持ちきりです。
考えてみれば近年、これほど話題をさらったプロアスリートはいません。
いつもはスキャンダルやクーデターなどに手厳しいマスコミがこぞって中立からは大きく逸れずに微妙で絶妙なポジションを堅持しながら騒動を取り上げています。
こういうことには先陣を切って何にだって飛びつく「文化人」やら「有名人」やら「評論家」だのがコメントを寄せ
TVが特報を流し、新聞では一面を飾り、週刊誌は特集に据え、SNSは炎上し、海外にも飛び火する。
もちろん、こういうことに反旗をひるがえすことによって自分の存在を再認識しているような輩もちゃんとしゃしゃり出てきて反論だか何だかを述べたりしている。
そして、もっとも印象深いのは巷の声。
「さびしいね」
素晴らしい。
ロングセラーヒット商品とはまさにかくあるべきだと思います。
マスコミが騒ぎミーハーが踊り捻くれ野郎がチャチャ入れて、何も知らない素人が「いなくなったらさみしい」と言ってしまうような状況、これこそヒット商品の夢のような一部始終ですから。
そのすべてをイチローが手にしているということを、今回の騒動で世の中に再認識させました。
ある商品がヒット商品の座を獲得することと、その商品が有能であることというのはもちろん別の話です。
流行などというのはカネの力で得た大衆心理操作にほかならなず、例えば他者より上手いだけの「歌手」や「役者」がヒット商品になるなんて
まったく希有なことだと、世の中というところをよくご存知の皆さまはお分かりでしょう。
だから私は彼の特別なファンでないにも関わらず、イチローを「偉大な商品」と呼んではばからないのです。
どちらにしても、こんなことは奇跡以外の何ものでもないと思いますねぇ。
いやホントたいしたもんだ。